ハマス新指導者に親イラン強硬派=対決姿勢で停戦交渉停滞か
パレスチナのイスラム組織ハマスは、イランで最高指導者ハニヤ氏が暗殺されたことを受け、後継者にパレスチナ自治区ガザトップのヤヒヤ・シンワル氏を選出した。同氏は昨年10月のイスラエル奇襲を主導したとされる最強硬派で、イスラエルと敵対するイランと関係が近いとされる。ガザの停戦交渉の行方は一層見通せなくなった。
東京大中東地域研究センターの鈴木啓之特任准教授はシンワル氏について、外交経験は乏しく「政治的駆け引きや譲歩といった手腕は未知数だ」と指摘する。ガザの地下トンネルに潜伏中とされ、「交渉を補佐する幹部と十分連絡を取れるかなど不確定要素が多い」と述べ、停戦交渉の停滞に懸念を示した。
欧州のシンクタンク「欧州外交評議会(ECFR)」などによれば、シンワル氏は、ハマスの軍事部門や、イスラエルと内通するパレスチナ人を摘発する治安部門の創設に関わったとされる。イスラエル軍は昨年の奇襲を首謀した1人として懸賞金を示して行方を追っている。ハマス幹部に近い関係者は英誌エコノミストに対し、シンワル氏は「ハマスの中で誰よりもイランとの関係が強い」と指摘する。
停戦交渉を仲介するカタールや、カタールなどに滞在するハマス在外幹部の一部は、ハニヤ氏の前任でより穏健なメシャル氏の復帰を望んでいたとされる。だが、ハニヤ氏暗殺の報復を宣言するイラン寄りのシンワル氏を選んだことで、ハマスはイスラエルに対する強い対決姿勢を示した形だ。
[時事通信社]
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