「どこにでもいる高校生だった」=共に歩んだトレーナー語る―バレーボール主将・石川選手〔五輪〕
「どこにでもいる高校生だった」。準々決勝でイタリアに敗れたバレーボール男子主将、石川祐希選手(28)=ペルージャ=の母校、星城高校(愛知県)バレー部でトレーナーを務めた野口嵩広さん(36)は、コートの外の石川選手をこう評した。コートに立てば、「非常に存在感が強く、自分の体をケアできる力もあった」という。
石川選手はスポーツ経験のある両親の影響もあり、けがをしていない時期でも、体を良い状態に保とうと積極的にストレッチをした。野口さんは「柔軟性が高く、なかなか出合えない良質な筋肉を持っていた」と振り返る。
バレーボールでは、体を弓なりに反らせてスパイクを打つ。野口さんによると、破壊力のあるスパイクを決めるには、「柔軟性に加え、股関節と背中の筋力、滞空時間を安定させるための体幹の強さが必要不可欠」という。「筋力と柔軟性、どちらが欠けてもスパイクのフォームは形成されない」と説明する。
柔軟性は抜群だった。だが、野口さんには、筋力が足りない上、多忙を極めたように見えた。中央大時代の石川選手は、学生生活を送りながらイタリア1部リーグに加入。全日本代表にも選ばれ、同大のメディカルトレーナーになっていた野口さんは「オーバーワークでひざに負担がかかり、一番苦しかった時代」と回顧する。
その後、日本チームの「絶対的主将」と呼ばれるまでになる石川選手専属となった野口さん。日本、イタリアそれぞれのドクターと連携し、サポート体制の充実に力を入れる。「10年以上、高校生から成熟していく姿を見させてもらった。自分のトレーナー人生は石川選手と共にある」。そう語り、前を向いていた。
[時事通信社]
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