2024-08-05 19:06スポーツ

故郷広島へ、平和祈る舞=「勇気を」「笑顔を」―ASの比嘉もえ〔五輪〕

練習でポーズを決めるASデュエットの比嘉もえ(右)。左はペアを組む佐藤友花=6月12日、東京都北区の国立スポーツ科学センター
練習でポーズを決めるASデュエットの比嘉もえ(右)。左はペアを組む佐藤友花=6月12日、東京都北区の国立スポーツ科学センター

 アーティスティックスイミング(AS)日本代表、比嘉もえ選手(16)=井村ク=がパリで五輪デビューを果たす。広島市出身。6日に79回目の原爆の日を迎える故郷と、安寧への思いを込めて平和の祭典の舞台に立つ。
 原爆ドームから1~3キロほどの小中学校に通った。ASに打ち込むようになった練習場所の最寄りも原爆ドーム前駅。「毎日見るような感じ」だったという。
 母は宮崎出身。父はプロ野球広島の選手だった沖縄出身の寿光さん。地縁が深いわけではないが、学校の級友の親族には被爆者もいる。「勉強した原爆の恐ろしさを実際に経験したという方が、おじいちゃん、おばあちゃんなのが、本当に人ごとじゃない。こんなに身近にいるんだな」と思いながら育ってきた。
 比嘉選手のふるさとが広島になったのは、戦後復興のシンボルとして愛されてきた球団に寿光さんが加入したから。「父がカープに入団していなかったら、私はたぶん広島に住んでいることもなかったと思う。広島で育って平和学習を受ける縁もあった」と振り返る。
 ASでは、東京大会まで五輪6連覇していたロシアが、ウクライナへの軍事侵攻を始めて以降、国際舞台への復帰を果たせていない。その一方で、満足な練習ができないウクライナの選手らの話も見聞きする。演技を披露する場がない選手のやるせなさも、練習どころではない選手の無念さも、どちらも想像すると複雑な気持ちになる。
 将来の日本のエースへの第一歩を踏み出す日が、くしくもふるさとにとって大きな節目と重なる。「8月6日は広島の人たちにとっていろんな意味で考えさせられる日。その中で私がいい結果を出して広島のみなさんを笑顔にし、勇気を与えられるような演技ができたらいいな」。特別な日にそんな思いも胸にする。 (時事)
[時事通信社]

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