「首相の資質」外交でアピール=茂木氏、アジア歴訪終える
自民党の茂木敏充幹事長は4日、フィリピンなどアジア4カ国歴訪を終えて帰国した。マルコス比大統領ら各国要人と精力的に会談。11月の米大統領選やウクライナ・中東など厳しい国際情勢を踏まえ、9月に想定される党総裁選に向けて、外交で「首相の資質」をアピールした格好だ。
「誰がやっても相当厳しい政権運営になる。リーダーに求められる資質は改革を大胆に実行する力だ」。茂木氏は3日、マニラで時事通信などのインタビューに応じ、総裁選を巡り首相に求められる資質についてこう語った。自身が出馬するかどうかは「この夏によく考えたい」と述べ、明言を避けた。
茂木氏は7月28日に日本を出発。インドネシアで国会副議長、シンガポールで首相、タイでは副首相らとの会談をこなした。
マルコス大統領との2日の会談では、東・南シナ海で覇権主義的な動きを強める中国について、地域の不安定要因になっているとの認識で一致。日比間で安全保障や経済など重層的な関係強化の必要性を訴えた。
茂木氏は外相などを歴任。かつてトランプ氏が米大統領在任中に、茂木氏を手ごわい交渉相手を意味する「タフネゴシエーター」と評したとのエピソードを披露するなど、自身の外交手腕には自信がある。2019年に妥結した日米貿易交渉に経済再生担当相として臨み、農業分野で日本の主張をほぼ反映させた。
茂木氏は先月22日の講演で、トランプ氏が大統領選で勝利した場合、「(各国は)国際社会全体にかかわる問題では苦労するかもしれない」と指摘。日本のトップにはこれまで以上に難しい外交のかじ取りが求められるとの見方をにじませた。
しかし、茂木氏は報道各社による「次の首相」の世論調査で下位に甘んじている。政権を支える幹事長が岸田文雄首相(党総裁)の対抗馬になれば、「令和の明智光秀」などと批判を浴びる可能性もある。茂木氏は総裁選出馬の是非を熟慮しているが、茂木派内からは「無役になれば人は集まらない。上を目指すしかない」(ベテラン)との声も漏れている。
[時事通信社]
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