野党陣営が徹底抗戦=「現職当選」に反発―ベネズエラ大統領選から1週間
【サンパウロ時事】7月28日に行われたベネズエラ大統領選から4日で1週間となった。反米左派の現職マドゥロ大統領(61)が掌握する選管当局から当選を認められたことに、野党連合は選管の発表は操作されていると反発。自らが擁立した元外交官エドムンド・ゴンサレス氏(74)こそが「次期大統領」と主張する。政権交代を実質的な独裁政治からの「解放」と位置付け、徹底抗戦の構えを示している。
◇政権、弾圧強化
「最後までやり遂げる覚悟だ」。野党女性指導者マリア・コリナ・マチャド氏(56)が3日、周囲を埋め尽くした支持者らに訴えると、現場は大きく沸いた。この日は全土で数千人が抗議の意思を示すために行進した。
マチャド氏は昨年の予備選で野党統一候補に決まったが、政権側が出馬を阻止。同氏の下に主要野党が結集し、政権交代への期待が高まる大きなうねりに発展した。マチャド氏を19世紀にスペインの支配から解放し、独立を導いた英雄シモン・ボリバルと重ねる向きもある。
投票所から得票を直接収集した野党陣営は、ゴンサレス氏が約720万票を獲得し、マドゥロ氏の2倍を超えたと主張している。選挙監視団の米非営利団体「カーター・センター」も、今回の選挙を「民主的とは考えられない」と指摘。「民主的な選挙プロセスへの人々の参加意欲」が「透明性を全面的に欠いた結果発表によって損なわれた」と結論付けた。
しかし選管当局は2日、マドゥロ氏の得票率が約52%で約43%のゴンサレス氏を上回ったと改めて発表した。選挙当日に続きマドゥロ氏当選を印象付けることで、既成事実化に躍起になっている。マドゥロ政権は、選挙翌日の大規模デモを受けて弾圧を強化。これまでに約2000人を逮捕したと明らかにした。人々が萎縮し、デモが下火になるのを狙っている。
シンクタンク「米平和研究所」は、このままでは現状が維持される恐れがあるとして「平和的な抗議活動が政権に圧力をかける唯一の手段だ」と分析。抗議を続けることで、政権からの軍の離反にもつながる可能性があると予想した。
◇詳細な結果公表を
ベネズエラ国外の動きも活発だ。マドゥロ氏当選にロシアや中国などが祝意を示したのに対し、先進7カ国(G7)外相が懸念を表明。米国やペルーなど米州の一部は、ゴンサレス氏の勝利という認識を公表した。
こうした中、ブラジル、メキシコ、コロンビアの3カ国は1日の共同声明で、詳細な開票記録を公表するよう要請した。これら中南米3カ国の左派政権はいずれも米国と一線を画し、マドゥロ氏と比較的友好な関係を構築している。同氏としても無視できず、対応が注目されている。
[時事通信社]
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