手堅い政権運営で好発進=スターマー首相就任1カ月―英
【ロンドン時事】英総選挙で労働党が大勝し、スターマー首相が就任して5日で1カ月。「国家の再建」を掲げる新政権はこの間、優先課題の経済やエネルギー安全保障などに着々と取り組み、比較的手堅い政権運営を進めてきた。保守党前政権の混乱に振り回された国民に、まずは安心感を与えているようだ。
スターマー氏は就任後の演説で「変革への任務は今すぐ始まる」と述べ、政治の「リセット」にまい進する決意を強調した。
その言葉通り、新政権は発足直後から独自色の強い政策を相次ぎ打ち出した。まず経済立て直しに向け、前政権から引き継いだ厳しい財政事情を公表した上で、インフラ計画の一部見直しを表明。続けて目玉公約だった電力公社の創設を発表するとともに、再生可能エネルギー開発促進の目標も具体化させた。
外交では、欧州の要人が一堂に会する「欧州政治共同体」首脳会合を主催し存在感を示した。ロシアの侵攻が続くウクライナのゼレンスキー大統領を閣議に招くなど、前政権が力を入れたウクライナ支援は継続する方針だ。
ただ、経済成長を重視し、英国が離脱した欧州連合(EU)諸国との関係改善や米国との「特別な関係」を強調する一方、アジアなど他地域、とりわけ対中戦略では未知な部分が多い。
保守党のスキャンダルにうんざりしていた国民の間では、新政権に対しおおむね好意的な意見が目立つ。ロンドン在住の学生サム・エアリッジさん(21)は「環境政策にすぐに取り組むなど、予想よりうまくやっていると思う。良いスタートと言っていい」と評価。年金生活者のマーガレットさん(78)は「(保守党政権との)違いはまだ実感できないが、少なくとも変化が起きてうれしい」と話した。
[時事通信社]
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