地元の期待背負い、雪辱の金=リネール、豪快な一本―柔道〔五輪〕
フランス中の期待をどっしりと受け止め、パリ五輪の主役が頂点に立った。柔道男子100キロ超級のリネールは地鳴りのような大歓声を一身に浴び、歓喜の雄たけびを上げた。「本当の夢だ。幸せで誇りに思う。母国でこんなことができるなんて信じられない」
斉藤を準決勝で下した金民宗(韓国)との決勝。観客が総立ちで声援を送る中、残り16秒で仕留めた。豪快な払い腰。相手の背中を畳にたたき付けて鮮やかな一本を奪い、両拳を突き上げた。
絶大な人気を誇る仏スポーツ界のスター。開会式で元陸上女子選手のペレクさんと共に聖火の最終点火者を務めた。自国五輪の「顔」は計り知れない重圧を背負いながら、「自然なこと。良いプレッシャーだった」と強い精神力ではねのけた。
3連覇が懸かった前回東京大会は銅メダル。ブラジル、モンゴルなど海外を渡り歩き、多くの技術を身に付けて雪辱を果たした。金は東京大会の混合団体を含め通算4個となり、五輪の柔道史上最多。個人種目で3個は、男子60キロ級で3連覇した野村忠宏以来2人目の快挙だ。「三つ目を取れば、歴史に名を残すと言われていた。憧れの野村さんに近づけた」と喜びをかみしめた。
柔道のフランス勢で今大会初優勝。マクロン仏大統領からも祝福を受け、メダル授与式では満員の観客と一緒に国歌を大合唱した。35歳のレジェンドは4年後のロサンゼルス大会も視野に入れ、「行きたいが、まずは休まないと」。物語はまだ続きそうだ。 (時事)
[時事通信社]
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