2024-08-03 07:56スポーツ

大器、覚醒ならず=斉藤、リネール戦前に散る―柔道〔五輪〕

男子100キロ超級3位決定戦でウズベキスタンのアリシェル・ユスポフに一本負けした斉藤立(右)=2日、パリ
男子100キロ超級3位決定戦でウズベキスタンのアリシェル・ユスポフに一本負けした斉藤立(右)=2日、パリ

 日本柔道界の期待を背負って臨んだ初の五輪は厳しい結果に終わった。柔道男子100キロ超級の斉藤は準決勝で敗れ、3位決定戦でも立て直せずに完敗。2008年北京五輪以来となる最重量級での金メダルには手が届かず、「こういう結果では日本に帰れない」。涙があふれた。
 厳しい組み合わせの中で、覚醒しそうな雰囲気はあった。2回戦で東京五輪王者のクルパレク(チェコ)を豪快に内股で投げ、準々決勝では2年前の世界選手権決勝で屈したグランダ(キューバ)に圧力をかけ続け、延長戦で雪辱を果たした。
 だが、待ち望んできたフランスの英雄リネールとの決勝を目前に、金民宗(韓国)にあっけない一本負け。この3年間で何度も見られた、圧倒的な強さともろさが同居する斉藤の姿があった。
 「誰よりもやってきた」という自信はあった。組み手の幅を広げ、寝技に取り組み、厳しい陸上トレーニングにも励んだ。「これまでやってきたことは身に付いている。試合になれば、もう考えることを一切やめて思い切っていく」。腹をくくって臨む覚悟はできていたが、厳しい現実に「気持ちの整理がついていない」と声を震わせた。
 鈴木監督は、斉藤の亡くなった父で五輪を連覇した仁さんの教え子。斉藤が頂点に立つための課題を聞かれ、悩んだ末に答えた。「スター性がまだない。もっと自分を磨いて、いろんな人から魅力的だと思われる存在になってほしい」
 まだ22歳。あと4年間、たくさんの挫折も味わいながら成長し、父が見た景色を目指していくしかない。 (時事)
[時事通信社]

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