3年の成長、深めた自信=張本智「次こそメダルに」―卓球〔五輪〕
心が静まらず、日付が変わる頃だというのに卓球場に向かってしまう。そんな練習が効果的ではないと頭では分かっていても、「ラケットを握っていないと落ち着かない日々だった」。2021年の東京五輪を目の前にして、張本智は追い込まれていた。
当時まだ18歳。「人がおかしくなってしまうぐらい」の緊張感があったという。心技体がそろわず、シングルスはベスト16で敗退。試合内容は「悔し過ぎて忘れてしまった」そうだ。
エースとして挑んだパリ五輪では、同じ轍(てつ)を踏まなかった。東京の反省だけでなく、3年間で成長した自身への信頼感もあっただろう。
22年の世界選手権団体戦の中国戦で、張本智はシングルスで2勝を挙げた。ただ、以前との一番の違いは、中国選手以外との対戦で容易には負けなくなったこと。技術面も精神面も安定した自分を「人間として厚みのある選手」と表現する。
危なげなく世界王者の樊振東(中国)との準々決勝にたどり着き、あと一歩まで追い詰めた。成績は東京大会から階段を一つ上がったにすぎないが、中身は全く異なる。表彰台には届かなくとも「悲観的になる必要はない」と明言できた。
次回のロサンゼルス五輪は25歳という脂の乗った時期に迎える。「このまましっかり4年間頑張れば、次こそメダルに届くという確かな自信を得られた。とにかく練習するしかない」。歩むべき道筋はくっきりと見えている。 (時事)
[時事通信社]
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