「苦しい時ほど冷静に」=銅メダル、父との合言葉胸に―フェンシング団体・上野選手〔五輪〕
「苦しい時ほど冷静に」。フェンシング女子フルーレ団体の上野優佳選手(22)=エア・ウォーター=は、父との合言葉を胸に2度目の五輪に出場し、銅メダルを獲得した。
大分県出身で、地元名物「鶏めし」や自宅庭でとれたサクランボが大好物。フェンシングの国体選手だった両親の下、幼稚園時代に、二つ違いの兄を追うように剣を握った。
父正昭さん(58)によると、始めた当初は「体育館で泣きながら練習していた」という。「誰に負けるより、兄に負けることを悔しがっていた。兄が最大のライバルだった」と幼少時代を振り返る。
負けん気は中学に上がっても変わらない。競い合っていた他校の選手に試合で負け、人目に付かない場所で頭にタオルをかぶり大泣きしたこともあった。
正昭さんはこの敗戦を、選手として成長する転機になったとみる。「絶対に負けないと挑んだ試合で負けたことで、さらに強くなりたいという思いを強くした。ターニングポイントになった」と話す。
五輪初出場だった東京大会では個人・団体とも6位入賞。母瞳さん(47)によると、東京大会出場が決まった上野選手は自身について、「なんで勝ててるんだろう」と話していたという。
だが、「今回は気持ちの重さが違う」と瞳さん。正昭さんによると、約1年前までの上野選手はパリ五輪出場へのプレッシャーからか攻めも守りも攻撃的過ぎたが、今年に入り、「やられても良いから突き切る」という自分のフェンシングを取り戻したという。
[時事通信社]
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