虎の闘争心、歴史刻む=女子フルーレ団体、光浴びる銅―フェンシング〔五輪〕
太田雄貴さんらの活躍に彩られた男子の陰に隠れてきた女子フルーレが、ついに光を浴びた。日本のフェンシング史上、女子初の快挙となる銅メダル。宮脇花綸選手(27)=三菱電機=は「いつも男子の方がいい結果で、負けたくない気持ちがあった」。新たな歴史を刻んだ4選手の笑顔がはじけた。
息をのむような接戦となったカナダとの3位決定戦。流れを引き寄せたのがリザーブの菊池小巻選手(27)=セガサミー=だ。4番手で投入されるとリードを奪ってバトンタッチ。「点数を取って勝ちにつなげたかった。自信を持って戦えた」。最後はアンカーの上野優佳選手(22)=エア・ウォーター=が1点差に迫られながらも逃げ切った。「日本は大舞台で気持ちが弱いと言われてきて、ここで負けたら本当にそんなチームになると思った」と胸を張った。
「虎になれ」。チームの成長は、2016年リオデジャネイロ五輪後にコーチに就任した、フランク・ボアダン氏(51)の奮起を促す言葉から始まった。フランス代表コーチとして対戦相手の日本を見て、「上手だけど優しくてかわいらしい戦い方。怖くはなかった」。中世ヨーロッパの騎士の戦いが起源の競技。対戦相手をのみ込むような闘争心を選手に求めた。
フェンシング3種目中、最も有効面が小さいフルーレで、しっかり突く器用さや技術には確かなものがあった選手たち。相手を倒す強い意志を身に付けると、好結果につながった。前回の東京五輪は6位にとどまったが、その後の3年間はワールドカップで表彰台の常連に近い存在に。昨年の世界選手権でも今回と同じメンバーで16年ぶりの銅メダルを手にした。東晟良選手(24)=共同カイテック=は「徐々に五輪のメダルが現実的になってきた」。
闘争心を土台に芽生えた、世界の強豪と戦える自信。フェンシングの本場フランスで、大きな成果となって花開いた。 (時事)
[時事通信社]
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