2024-08-02 08:22スポーツ

遅咲き29歳、後悔なく=力出し切った高山―柔道女子〔五輪〕

女子78キロ級敗者復活戦で攻める高山莉加(左)=1日、パリ
女子78キロ級敗者復活戦で攻める高山莉加(左)=1日、パリ

 29歳で初めて立った憧れの大舞台。柔道女子78キロ級の高山はメダルを獲得できなくても、すがすがしい表情を見せた。「本当に自分の力を精いっぱい出して戦うことができた」。頬には乾いた涙の跡があった。
 準々決勝では相手の組み手に対応できないまま、指導三つで反則負け。失意の中、所属先の三井住友海上の上野雅恵監督からメッセージが届いた。「まだあなたの柔道はできていない。私たちも応援席で戦っているから一緒に戦おう」。高山はその後の敗者復活戦と3位決定戦で、持てる力を出し切った。
 今大会の日本代表14人の中でただ一人、世界選手権への出場経験がない。高卒で実業団に入ったが、高校の先輩で東京五輪金の浜田尚里(自衛隊)の壁は越えられず、同年代や後輩が次々に世界の大舞台に出ていくのを見ているしかなかった。
 引退も頭をよぎっていた高山に、上野監督はこう言った。「あなたが諦めなければ行けるよ。周りはみんな諦めてないよ」。昨年12月のグランドスラム東京で浜田らの成績を上回り、ついに代表の座をつかんだ。
 観客席にいくつも揺れる日の丸を見て、「日本人でよかった。この人たちに私の勝つ姿を見せたいと思って戦った」と思えた。出場した者にしか分からない、胸を打つ景色だった。 (時事)
[時事通信社]

女子78キロ級3位決定戦で敗れた高山莉加(右)=1日、パリ
女子78キロ級3位決定戦で敗れた高山莉加(右)=1日、パリ

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