2024-08-01 18:41スポーツ

選手の心意気見たい=AS指導者、井村雅代さん―リレーコラム〔五輪〕

井村雅代さん
井村雅代さん

 アーティスティックスイミング(AS)のチーム種目を現地パリで観戦する。五輪のASを観客席から見るのは、生まれて初めて。楽しみでわくわく。もちろん日本に頑張ってほしいが、私が関わってきた世界の選手たちの戦いぶり、心意気を見たい。
 パリ五輪前に約3週間、ローマで合宿していたイタリアの五輪チームに頼まれ、技術面を教えてきた。中国のヘッドコーチは、2008年北京五輪で私がコーチを務めた時の主将。デュエット代表の子もジュニア時代に中国の広東省で教えた。みんな仲間だから、後悔なく戦ってほしい。
 所属クラブの選手で言うと、比嘉もえは初めての五輪。今後の日本のエースになる子。足らないところだらけだと思うが、多くのいい経験をして幅を広げてほしい。東京五輪にも出た安永真白と木島萌香には悔いなく戦ってほしい。(東京大会は)無観客で何ともいえない五輪だった。選手は真剣だけど、周りはお祭りみたいな本来の大会を彼女たちは知らないから。
 新ルールになって、まだ2シーズン目。私も泣かされた「序列」を崩すためのやり方の一つと思う。ただ、難度を上げないといけないから、曲を無視してそちらに走っている。すごく難しいことをしても、一つミスと認定されたらベースマーク(最低評価)を受けて大幅に減点。従来のルール変更とは比較にならない。もはや違う種目だ。
 ASの本質はスポーツと芸術性だが、競技的な価値を上げるため、強い人が金、銀、銅を手にしてほしい。プロだけでなく、初めて見たという方が見ても、そう思える結果になってほしい。
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 井村 雅代さん(いむら・まさよ)東京五輪AS日本代表ヘッドコーチ。五輪は旧名シンクロナイズドスイミングが正式種目になった84年大会以降、指導者として日本だけでなく中国などの代表チーム強化に尽力。大阪府出身。73歳。 (時事)
[時事通信社]

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