頼もしい2人の王者=内村から続く系譜―体操男子〔五輪〕
体操男子個人総合決勝で、初代表の岡慎之助(徳洲会)が中国勢との激戦を制して金メダルに輝いた。大会前には「むちゃくちゃ、そわそわ。浮いている感じ」と地に足が着いていない様子だったが、本番になると一変。予選や日本が金メダルに輝いた団体総合決勝を含めた16の演技には、最大の魅力である美しさがいっぱいに詰まっていた。
男子の6種目は跳躍力、筋力、バランス感覚など求められる要素が異なる。だからこそ、個人総合王者は最も憧れられる。2012年ロンドン、16年リオデジャネイロ五輪で連覇した内村航平は「キング」と呼ばれるようになり、21年東京五輪は橋本大輝(セントラルスポーツ)が制覇。岡の勝利により、日本はこの種目で初めて五輪4連覇を成し遂げた国になった。
22年、23年世界選手権王者の橋本はミスが出て6位に終わったとはいえ、けがによる調整不足のまま臨んでおり、力が落ちたわけではない。今後については「彼(岡)も僕からの押し上げにきつい思いをすると思う」と、ちょっぴり意地悪そうな目つきで逆襲を誓った。
日本はかつて、1960年ローマから76年モントリオール五輪まで団体総合5連覇の偉業を達成。その間、個人総合は遠藤幸雄と加藤沢男が日本勢3連覇を成し遂げている。世界王者と五輪王者を擁する今の世代は、当時のような黄金時代に入ったと言っても過言ではない。
04年アテネ五輪団体金メダリストの水鳥寿思監督は言う。「(岡という)心強い存在が出てきた。2人強い選手が並ぶ日本は、非常に厚みがある」。内村から続く王者の系譜は、「体操ニッポン」の歴史に新たな輝きを与えている。 (時事)
[時事通信社]
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