原点は「楽しい」、いつも胸に=連覇逃したエース、あふれる涙―体操橋本選手、個人連覇ならず〔五輪〕
日本のエースはメダルに届かなかった。体操男子個人総合で連覇の夢は破れ、6位入賞に終わった橋本大輝選手(22)=セントラルスポーツ。壁にぶち当たった時にいつも胸中にあったのは、純粋に体操を楽しんでいた小学生の頃の自分の姿だった。
東京五輪後の道のりは順風満帆ではなかった。五輪3カ月後の世界選手権では中国選手に僅差で敗れ、昨夏の国際大会はあん馬で落下して頭を打ち、途中棄権した。腰の疲労骨折など、けがにも苦しんだ。
「体操がちょっと嫌になる」。そう感じた時、ふと浮かぶのが小5の頃の自分自身だ。「ゆかで初めて3回ひねりに成功し、めちゃくちゃうれしくて、跳び回るくらい体育館を走り回った」。勝ち負けを考えず、純粋に体操を楽しんでいたことを思い出し、「やっぱり体操はやめられないよな」と自らを奮い立たせた。
小中時代を指導した佐原ジュニア体操クラブ(千葉県)代表の山岸信行さん(68)は「練習に貪欲だった」と話す。ある選手が大会中、鉄棒で2回宙返りをやってのけると、橋本選手は試合後すぐ練習に取りかかり、できるまで続けた。普段から新しい技にチャレンジしたがり、山岸さんは「まだ早いから我慢しろ」と注意していたという。
当時の練習拠点は廃校を活用した旧香取市立沢小学校(同県)の体育館。つり輪はバスケットゴールからつるされ、跳馬の助走レーンは体育館の入り口まで延びる。山岸さん「お手製」の練習場だ。東京五輪前、コロナ禍で大学などの施設が使えなくなった橋本選手は、ここで基礎練習をこなしたこともあった。
決勝最終種目の鉄棒では、着地が少し乱れたが、好演技を見せ、観客席に向かって何度も礼をした橋本選手。全てを終え、あふれる涙をこらえることはできなかった。
[時事通信社]
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