自ら選んだいばらの道=強さ求め「本物になる」―銀メダルの柔道村尾選手〔五輪〕
本物の強さを求め、険しい道も自ら進んで挑んできた。柔道男子90キロ級、村尾三四郎選手(23)=JESグループ=は類いまれな身体能力、豊富な体力を武器に、初の五輪で銀メダルをつかみ取った。
日本人の父と米国人の母の間に生まれた。名前の三四郎は、父が「生粋の日本人に育ってほしい」との思いを込めて付けた。
つくばユナイテッド柔道(茨城)で5歳ごろに競技を始め、小学校低学年で道場の端から端までの約40メートルを逆立ちで歩くことができた。当時指導した岡田弘隆さん(57)は「運動能力は群を抜き、同級生同士ではほとんど練習にならなかった」と話す。
幼少から一貫するのは強さを追求する姿勢だ。中学を選ぶ基準は「一番きつい練習をする学校」。強豪校の稽古を見て回り、姫路市立灘中(兵庫)に進学、中3の全国大会で優勝した。「ぶっちぎり」の強さにほれ込んだ桐蔭学園高(横浜市)の高松正裕監督(42)にスカウトされ、同高に進んだ。
高松監督によると、当時の村尾選手は、技を掛ける際の瞬発的な筋力に優れていたが、筋持久力には課題があった。「8割の状態でも勝てるようになれ」。高松監督は乱取りを増やしたり、インターバル走を取り入れたりして体力強化を徹底した。「世界で戦える選手にするトレーニングをした」と振り返る。
村尾選手はこの頃、「BE REAL」という言葉に出合ったという。米国の元プロボクサー、マイク・タイソン氏が好んで用いたフレーズで「本物になる」という意味だ。
「人間離れした強さに引かれた。ただ強い選手になるのではなく、柔道を通して自分自身を伝えられるようになりたい」と村尾選手。その言葉通り、大舞台に立てるまでに成長した。
[時事通信社]
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