セーヌ川開催、運も味方=リスク背負ったスイム〔五輪〕
セーヌ川の水質問題で実施の行方に注目が集まっていたパリ五輪のトライアスロン男女が31日に行われた。女子は予定通りに、男子は30日から延期されたもののスタート。大会組織委員会などは「水質調査の結果により開催が許可された」とした。
実施には運も味方した。パリの街では雨が降れば排水溝などから汚水がセーヌ川に流れ込み水質が悪化する。市内では前夜から雨が降った。しかし、調査の段階では水質に影響が出ていなかったことが幸いだった。
今大会はセーヌ川でのスイムが話題の中心だったが、バイク、ランは華やかなパリの街を選手たちが駆け抜けた。これまでにない独自の雰囲気でコース周辺に多くの人が集まり声援を送った。女子で40位だった高橋侑子(相互物産)は「本当に観客がすごかった」と振り返るなど、レースは大いに盛り上がった。
ただ、手放しでは喜べない面もある。大会組織委などはトライアスロンのスイムについて、代替地案を設けなかった。仮に予備日にスイムが実施できない場合はバイクとランによるデュアスロンにする方針だった。28、29日の公式練習は中止となり、男子は日時が変更になった。水質の選手の体への影響も現時点では分からず、アスリートファーストだったとは言い切れない。
パリのイダルゴ市長が公約にも掲げるセーヌ川の浄化へ、市はこれまで約14億ユーロ(約2280億円)を投入してきた。大会を前に汚水流入を防ぐ貯水槽が完成するなど、五輪が浄化計画を加速させた面もあった。リスクを背負ってでもセーヌ川で実施の裏にはそんな事情も見え隠れする。 (時事)
[時事通信社]
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