強制不妊訴訟で初の和解=77歳女性、旧優生保護法巡り―東京地裁
旧優生保護法に基づき不妊手術を強制されたとして、東京都日野市の西スミ子さん(77)が国に損害賠償を求めた訴訟は31日、東京地裁(片山健裁判長)で和解が成立した。全国で起こされた同様の訴訟で初めての和解となった。
強制不妊訴訟を巡っては、最高裁大法廷が同法の規定を違憲として国の賠償責任を認定。岸田文雄首相が被害者らに謝罪し、継続中の訴訟で和解を目指すと表明していた。
西さんは脳性まひがあり、14歳の頃に同意がないまま不妊手術を受けさせられた。2022年9月、手術により強い精神的苦痛を受けたとして、国に3000万円の慰謝料を求めて提訴した。
西さんの代理人弁護士によると、国が和解金や弁護士費用など計約1650万円を支払う条件で和解した。謝罪の文言は国側の調整に時間がかかるため、盛り込まれなかった。
旧優生保護法による不妊手術を巡っては、各地で同種の訴訟が起こされた。最高裁は7月3日の判決で、同法の規定が個人の尊厳や法の下の平等を定めた憲法に違反すると判断した。
国は不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適用を主張したが、最高裁は「著しく正義・公平の理念に反する」として認めなかった。
岸田首相は17日に被害者らと面会し、「政府の責任は極めて重大だ。心から申し訳なく思う」と謝罪。継続中の訴訟で除斥期間適用の主張を撤回し、「和解による解決を速やかに目指す」と述べた。
[時事通信社]
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