圧倒的努力で臨んだパリ=準決勝進出ならず―競泳・本多選手〔五輪〕
準決勝進出を逃した競泳男子200メートルバタフライの本多灯選手(22)=イトマン東進=。競泳仲間に「世界でも、あれ以上努力している選手は限られるのではないか」と言わしめるほどの練習を積み重ねてきた。
共に練習や遠征を重ね、今春引退した竹田渉瑚さん(29)によると、本多選手の強みは、状況に応じた「最善のパフォーマンス」を実行できる点にある。「一定のテンポで力強いキックを打ち続けられる心肺能力を備え、体の動かし方の感覚が鋭い」と話す。
2月にドーハで行われた世界水泳では「常人離れしている」と思わされたという。
竹田さんによると、本多選手はレース直前に足首を捻挫し、松葉づえが必要な状態になった。発熱もあり、大会中、同部屋で過ごしていた竹田さんは「出場は厳しいよな」と漏らした。
だが、検査で新型コロナやインフルエンザではないと確認された本多選手は「僕やります。いける気しかしないです」と出場を決意。言葉通り、金メダルを獲得した。竹田さんは「あれだけの障壁をもろともせず金メダルを取るなんて、普通は考えられない」と振り返る。
「ノリと勢いで取ることができた」。3年前の東京五輪で獲得した銀メダルについて、そう語った本多選手。竹田さんによると、自身が抱いた感覚を「改善すべき点」と捉えて練習していたといい、「世界水泳で、けがをした状態で金メダルを取ることはノリと勢いだけではできない」と断言した。
[時事通信社]
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