2024-07-31 01:17社会

妥協なき稽古、力に=3度目五輪、連覇果たす―金メダルの柔道永瀬選手〔五輪〕

筑波大卒業式の時の永瀬貴規選手(右)と友人の内田暁さん=2016年3月(内田さん提供)
筑波大卒業式の時の永瀬貴規選手(右)と友人の内田暁さん=2016年3月(内田さん提供)

 柔道男子81キロ級、永瀬貴規選手(30)=旭化成=が金メダルを獲得した。妥協せずに黙々と鍛錬を重ねて3度目の五輪出場を果たし、見事連覇を成し遂げた。
 優勝が決まっても淡々とし、表情を変えることなく勝ち名乗りを受けた。四方に礼をして、堂々と試合場を後にした。
 筑波大卒業後も、同大を拠点に稽古に励んできた。柔道部総監督の岡田弘隆さん(57)によると、大学生と同じ練習メニューを手を抜くことなくやり通し、乱取りは決まって強い選手から。胸を貸しつつ、常に「100%」で臨むという。
 「永瀬の稽古をよく見ろ」。岡田さんは学生にしばしばそう話す。勝負への貪欲さ、飽くなき向上心―。技術はもとより、「稽古に対する姿勢は全ての学生の模範」と太鼓判を押す。
 筑波大時代、共に汗を流したチームメートの内田暁さん(32)も影響を受けた一人。黙々と稽古する永瀬選手の姿に「必死について行かなきゃいけないと思った」と振り返る。
 内田さんにとって、人生の岐路で背中を押してくれたのも永瀬選手だった。大学卒業後、コーチを経て民間企業に就職し、しばらく柔道から離れていた。「戻ってきてほしい」。永瀬選手と会うと、時折そう声を掛けられた。
 今春、帝京平成大柔道部のコーチとして畳に戻った内田さん。永瀬選手のことを「仲間思いで熱いやつ」と評す。
 その永瀬選手は、3年前の東京五輪の時と比べ、「体の疲労がきついと思う時間は増えた」と語る。だが周囲から上がるのは「弱音は聞いたことがない」の声ばかり。筑波大の先輩、小野卓志さん(44)は「うまくいかなくても、練習量とトレーニングでカバーする」と話す。不屈の柔道家に妥協はない。 
[時事通信社]

男子81キロ級で金メダルを獲得し、歓声に応える永瀬貴規=30日、パリ
男子81キロ級で金メダルを獲得し、歓声に応える永瀬貴規=30日、パリ

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