連覇の裏に「下町の絆」=堀米選手と早川コーチ―スケートボード〔五輪〕
スケートボード男子ストリートの堀米雄斗選手(25)=三井住友DSアセットマネジメント=が、劇的な逆転優勝で五輪連覇を遂げた。堀米選手と共に、苦難の道を歩んできたのが恩師である日本代表コーチの早川大輔さん(50)だ。連覇が決まると、堀米選手と抱き合って喜び「感情があふれ出てきた。言葉が出てこない」。こぼれた涙の裏には、長い時間をかけて築いた絆があった。
スケーターだった堀米選手の父亮太さん(49)が若い頃、早川さんの地元葛飾区の公園で滑っていたときに偶然知り合った。その縁で堀米選手と出会い、堀米選手が海外の大会に出るようになると、早川さんも同行した。亮太さんは「親以上に毎回コンテストについて行き、ずっと見ていた」と回顧する。
2人とも東京の下町生まれで、早川さんは「下町スケーター」と表現する。米ロサンゼルスに豪邸を建て、アメリカンドリームをかなえた教え子の生き方には脱帽するが、どこか親近感があるのだろう。「下町出身は泥臭い方が格好いい。だから逆境に強い」と笑う。
東京五輪で一躍金メダリストになり、周囲の環境が一変した堀米選手の苦悩を誰よりも知る。「友達と普通にできていたことができなくなった」という堀米選手を見て、早川さんは「ただのスケーターではなくなってしまった。大変な思いをしただろうし、つらかったと思う」。
海の向こうで孤独に闘う日々を思いやり、直接会ったときは深い話をする。堀米選手がコンテストを制すると、表彰式に早川さんが登場して肩車をするのが恒例になった。二人三脚で歩んできた。
起死回生の大技で再び金メダルを手にした教え子の勇姿に「人としての強さ、かっこよさ、美しさを伝えられたんじゃないか。彼の活躍で、もっとスケートボードが広まっていくと感じた」。スケボーでは珍しい師弟関係は最高の形で結実した。 (時事)
[時事通信社]
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