2024-07-30 03:57社会

「景品目当て」で優勝、転機=フェンシング・江村選手〔五輪〕

女子サーブル個人3回戦で韓国の崔世彬選手(左)と対戦する江村美咲選手=29日、パリ(ロイター時事)
女子サーブル個人3回戦で韓国の崔世彬選手(左)と対戦する江村美咲選手=29日、パリ(ロイター時事)

 五輪フェンシング女子サーブル個人の江村美咲選手(25)=立飛ホールディングス=は2大会連続出場。メダルに届かなかった東京五輪の悔しさをばねに、初の表彰台を目指した。
 大分県出身。フェンシングでソウル五輪に出場経験がある父宏二さんの影響で、小学3年の時に剣を握った。宏二さんによると、運動会や公園のうんていで遊ぶのが好きな少女だったが、「走るのは速くない。運動能力は普通だった」という。
 当初は同世代の選手にかなわなかった。「勝てないと面白くない」と漏らすような状況が続いたが、小学校卒業直後に転機が訪れた。景品のパズル欲しさに出場したサーブルの大会で、見事優勝。江村選手はこの優勝を機に、「突き」に「斬る」を加えたサーブルが大好きになった。
 だが、順風ではなかった。中学1年の時、けがなどで挫折しかけ、母に「フェンシングをやめたい」と相談。母は「将来、同世代のライバルたちがオリンピックでメダルを取ってる姿を見ても大丈夫ならやめていいよ」と応じた。「嫌だ」。答えが出た。
 母とのやりとりで迷いが吹っ切れたのか、その後の江村選手は練習にも力が入るようになり、数々の国際大会で成績を残した。
 宏二さんは夫婦で江村選手について、「童謡『ウサギとカメ』のカメタイプだね」と話し合ったことがある。無理に教え込まず、「好きにやりなさい」という姿勢で見守り続けたという。 
[時事通信社]

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