チーム救った19歳=谷川、強烈な初ゴール―サッカー女子〔五輪〕
少しずつ残り時間が減っていく。ブラジルとは1点差。後半35分、なでしこジャパンはとっておきの切り札を投入した。19歳の谷川だ。「自分が変えてやるという強い気持ちを持っていた」
前線からどんどんボールを奪いに圧力をかける展開で、中盤に入って圧巻の強さを見せる。全体を押し上げ、CKの流れで、右サイド深くからゴール前へ進入を試みた。体勢を崩した相手選手の腕にボールが当たり、起死回生のPK獲得。ロスタイムに入って2分、歴戦の熊谷主将が決め、振り出しに戻した。
本当のハイライトはその4分後だ。ブラジル選手がキープできなかったボールを、ゴールから約35メールの距離から迷わずにダイレクトシュート。少し前に出ていたGKは触れず、ゴールへ吸い込まれた。「一戦集中という思いをみんな持っていた。勝ち取れたことは本当に大きい」と喜びをかみしめた。
試合前、父栄治さんから連絡があり、ブラジルのGKが前に出やすいと助言を受けた。長い距離のシュートはもともと得意。中学時代はGKの身長が低いことが多く、ハーフウエーラインあたりからよく狙っていた。JFAアカデミー福島で指導した山口隆文チーフコーチは口出ししなかった。「感性はいじらなかった。能力をどんどん高めた」と回顧していた。
記念すべきA代表初ゴールが劇的な一撃になった。日本での直前合宿。けがの影響で満足に練習できなかった日々を思い出し、「スタッフ含めて、みなさんが支えてくれた」と大粒の涙を流した。大きな大きな恩返しゴールとなった。 (時事)
[時事通信社]
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