支援継続は「日本のため」=ロシア侵攻で団結、強い国に―松田ウクライナ大使
【キーウ時事】松田邦紀駐ウクライナ日本大使は27日、インタビューに応じ、ウクライナはロシア侵攻から2年半近くを経て「強い国」に成長したと語った。ウクライナに対する支援は日本の戦後復興の基盤となった国際秩序を守ることだと強調。日本のためでもあり、「この戦争は人ごとであってはならない」と支援継続の重要性を訴えた。
松田氏は2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻の前年に着任。ウクライナの現状について、侵攻直後の危機を乗り越えて国民が団結したことで「(部分的に)正常化の動きが出ており、将来への自信を強めている」と述べた。欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)加盟が一歩実現に近づき、「戦況とは無関係に国家として強くなった」と評した。
戦闘が長引き、欧米ではウクライナへの「支援疲れ」が顕著になっている。米国は600億ドル(約9兆2000億円)規模の支援が議会の反対で遅れ、ウクライナは軍事作戦や財政面で厳しい状況に陥った。
松田氏は、日本が支援を継続する意義について、ロシアによる独立国家侵略という法と正義に対する挑戦を容認することは「(戦後の)日本の経済を発展させ、社会を進歩させた国際秩序がなくなることだ」と指摘。国際秩序を保つことは日本の将来世代の幸福を守るためであり、「ウクライナに対する上から目線の支援と捉えるべきではない」と訴えた。
松田氏は、むしろ多くの女性が政府高官などとして活躍したり、一般市民がボランティアとして国防に参加したりする社会システムについて、「日本はウクライナから学ぶべきだ」と話した。
一方、日本とウクライナ両政府は2月、東京で経済復興推進会議を開き、協力強化で一致した。松田氏は「復興支援のカギは官民連携」と述べ、政府として民間投資を促す情報提供を積極化すると説明した。2月に署名された新租税条約の発効、改定交渉中の投資協定も環境の改善につながると指摘した。
[時事通信社]
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