2024-07-29 06:02社会

日本で歩んだ柔の道=恩師「全力で挑んで」―韓国代表・許選手〔五輪〕

帝京高時代の許美美選手(右)と鈴木孝之監督(当時)(鈴木さん提供)
帝京高時代の許美美選手(右)と鈴木孝之監督(当時)(鈴木さん提供)

 パリ五輪韓国代表で柔道女子57キロ級に出場する許美美選手(21)は東京都出身で、柔道の基礎を日本で学んだ。「後先を考えず、全力で」。幼少から指導した恩師らは教え子の活躍を期待している。
 韓国人の父と日本人の母の間に生まれた許選手。小学校時代、町道場で指導した植村高志さん(46)は「とにかく負けず嫌いだった」と笑う。
 当時、どちらかが投げられるまで行う「一本取り」で一日の稽古を終えていたが、許選手は負けると「もう1回やらせてください」と勝つまで繰り返し、深夜まで続くことも。負けたまま帰ったと思いきや、泣いて引き返し再戦をせがむ日もあった。
 小6の時に出場した団体戦では、体重が50キロ以上重い男子選手相手に果敢に攻め、会場中が沸くほどのファイトを見せたという。
 強豪の帝京中・高(東京)に進んでも勝ちへの執念は変わらない。他校との合宿では中学生ながら、われ先にと高校チャンピオンをつかまえ、何度も胸を借りた。「あの姿勢を見習いなさい」。当時柔道部監督の鈴木孝之さん(55)は部員にそう指導した。
 帝京中・高の道場には海外のナショナルチームや実業団もよく訪れ、許選手は第一線で活躍する選手にもまれながら実力を蓄えた。高2ごろから韓国代表としてジュニア大会に出場するようになったが、日本でも練習を続け、今年5月の世界選手権を初制覇した。
 許選手は日本時間29日午後、畳に上がる。鈴木さんは「ひるむことなく強気で向かっていけるのが彼女の柔道の良さ。後先を考えず、目の前の試合に全力で挑んでほしい」とエールを送った。 
[時事通信社]

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