関係改善、歴史対立望まず=懸案「対話で解決」―韓国・世界遺産
【ソウル時事】韓国政府は、「佐渡島(さど)の金山」(新潟県佐渡市)の世界文化遺産登録を巡り日韓が歴史対立に陥る事態は避けたい考えだった。韓国が求めた「全体の歴史の反映」を日本が受け入れ事前の合意に至ったことに、ひとまず胸をなで下ろしている。
「対話を通じて韓日の懸案を解決することができた」。韓国外務省当局者は薄氷の合意となった交渉を振り返り、こう評価した。
日本政府が金山を世界遺産に推薦した際、韓国政府は「遺憾」を表明していた。だが、尹錫悦政権が2023年3月、懸案となっていた元徴用工訴訟問題の解決策を示して以降、日韓関係は急速に改善。両国の外交当局者の間では、登録が関係改善の新たな障害になるのは避けたいとの思いが一致していた。
韓国は15年に登録された「明治日本の産業革命遺産」を巡り、長崎県の端島(通称軍艦島)などの朝鮮半島出身労働者に関する日本政府の説明が不十分だと批判してきた。韓国外務省当局者は「今回は日本と具体的な履行内容に合意した」と述べ、15年の登録時との違いを強調した。
朝鮮半島出身労働者の徴用を巡る問題は、これまでも日韓の懸案となってきただけに、韓国が日本に譲歩したと受け止められれば、国民感情を刺激しかねない。韓国メディアは、展示などの措置に「強制労働」が十分に反映されなければ、韓国国民の反発が強まる可能性もあるとの見方を伝えている。
国会で多数を占める革新系最大野党「共に民主党」は登録を受け、日本政府が動員の「強制性」を認めなかったことを指摘。尹政権が「日本の歴史歪曲(わいきょく)に同調した」と批判した。
[時事通信社]
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