G20、3会合ぶり共同声明=為替合意を再確認―財務相会議閉幕
【リオデジャネイロ時事】20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が26日(日本時間27日)、共同声明を採択し閉幕した。共同声明の採択は3会合ぶりで、為替レートの過度な変動は経済に悪影響を与え得るとする従来の合意を再確認した。焦点となった国際課税では巨大ITなどへの「デジタル課税」の早期実施で一致した。
日本からは鈴木俊一財務相が出席。閉幕後の記者会見で「国際的な課題で日本の立場をしっかり伝え、結果にも反映された」と強調した。円相場は、政府・日銀による円買い介入もあって、急激な円安進行は一服したものの、日米の金利差などを背景とした円安圧力は根強い。鈴木氏は為替合意の再確認は「重要な成果だった」と述べた。
国際課税を巡っては、「デジタル課税」実施に向けた進展を歓迎すると表明した。ただ、実施に必要な多数国間条約への各国政府の署名時期は「できるだけ早く」との表現にとどめた。
議長国ブラジルが重視する超富裕層課税に関しては「より公平で安定的かつ効率的な国際課税へ協働を続ける」と強調。国際課税協力に関する閣僚宣言も採択し、国内の格差是正への累進課税の重要性を指摘した。
声明は、世界経済について「軟着陸の可能性が高まっている」と指摘する一方、下振れリスクとして「戦争と激化する紛争」や経済の分断、長引くインフレなどを挙げた。欧米と中国の対立による貿易紛争激化への懸念が強まる中、「保護主義に対抗する」と明記した。
今回、ブラジルは新興・途上国が直面する課題を盛り込んだ共同声明の採択を目指し、意見の対立が激しい地政学的リスクの議論を避けた。共同声明採択にはこぎ着けたが、代わりに議長声明で「一部の国はロシア、ウクライナ、ガザ情勢への見解を示した」と指摘。G20内の溝の深さも改めて浮き彫りになった。
[時事通信社]
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