前回開催国は好調=日本、勢い持続できるか―パリ五輪
躍進した五輪のホスト国は、次の大会まで遺産が残るのか。日本にとって、パリ五輪は自国開催の翌大会。過去の大会をひもとき、獲得メダル数の変遷や選手強化費、各競技への波及を探る。
日本は2021年東京五輪で金メダル27個、総メダル数58個と過去最多。自国開催の前大会と開催時、翌大会の三つを比較すると、12年ロンドン大会を開催した英国は金が19個、29個、27個。16年リオデジャネイロ大会のブラジルは金が3個、7個、7個だった。
東西諸国によるボイコットの影響がない1988年ソウル大会以降の平均で、開催時の金メダル合計は前回比で1.6倍、メダル総数は1.3倍だった。その翌大会はいずれも2割も減らない。競技力は維持される傾向にある。
今回の日本勢で顕著なのは、全競技がそろった団体球技だ。男子で予選を突破しての出場はバスケットボールが12大会ぶり、バレーボールは4大会ぶり。ハンドボールは9大会ぶりで、日本協会の清水茂樹事務局長は「団体球技はチームづくりに連続性が出やすい。土台は変わらず、メンバーが少しずつ入れ替わることも大きい」と説く。
強化関連の予算はどうか。スポーツ庁によると、同庁設置前の14年度は50億円未満だったのに対し、19年度に初めて100億円を超えた。東京五輪後も大台を維持している。
各競技団体の予算は、東京五輪後に減ったという声も。日本バドミントン協会の村井満会長は「補助金が東京大会の6割程度になった」と指摘。大会後にスポンサーが離れた競技団体もある。一方で当時はコロナ禍で活動費が減り、繰り延べた分を活用するなど対策はさまざまだ。
東京五輪に向けた整備が、大会後も強化の一端を担う向きもある。カヌー・スラロームでは19年に国内初の人工コースを東京都内に設置。男子カナディアンシングルの羽根田卓也(ミキハウス)は「一流の環境ができた」と感謝する。
開催した過去8カ国の平均から算出すると、パリでの日本の金メダルは海外開催で最多の22個、メダル総数は52個に上る可能性がある。3年前の熱狂は、花の都でも咲き誇るか。
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◇開催国のメダル数
開催時 翌大会
年 開 催 地 金 計 金 計
1988 ソ ウ ル(韓 国) 12 33 12 29
92 バルセロナ(スペイン) 13 22 5 17
96 アトランタ(米 国) 44 101 37 93
2000 シドニー (豪 州) 16 58 17 50
04 ア テ ネ(ギリシャ) 6 16 0 3
08 北 京(中 国) 48 100 39 92
12 ロンドン (英 国) 29 65 27 67
16 リ オ(ブラジル) 7 19 7 21
21 東 京(日 本) 27 58 ? ?
(東西諸国によるボイコットの影響がない88年ソウル大会以降。金は金メダル、計は合計メダル数。リオはリオデジャネイロ)
(時事)
[時事通信社]
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