2024-07-24 05:28スポーツ

日本で稽古、パリ切符つかむ=仙台大のエスカノさん、柔道グアム代表に―パリ五輪

練習中に笑顔を見せるマリア・エスカノさん(右)=4日、宮城県柴田町
練習中に笑顔を見せるマリア・エスカノさん(右)=4日、宮城県柴田町

 パリ五輪の柔道女子57キロ級に、グアム代表として出場する留学生が仙台大に在学している。同大4年のマリア・エスカノさん(22)=米国籍=は7歳で出会った柔道に魅了され、練習環境を求め日本に来た。夢の舞台を前に、「自分の柔道に自信を持って戦いたい」と意気込む。
 マリアさんは米国人の父とロシア人の母を持ち、韓国で生まれた。7歳の時、所属していたサッカークラブの近くに柔道場があり、「面白そう」「やってみたい」と門をたたいた。「柔道の魅力は競技が教えてくれる自制心などの道徳的価値観。単なる競技スポーツではない」と語る。
 11歳の時、テレビで五輪の試合を見たことがきっかけで「柔道の最高峰に上り詰めたい」と出場を目指すようになった。より良い練習環境を探し求めていたところ、日本の指導者の目に留まり、女子選手の練習環境が充実していた仙台大に入学することが決まった。
 慣れない土地での生活に戸惑いや困難もあった。来日した2020年はコロナ禍で、日本語も全く話せなかった。近くで見守ってきた女子柔道部の南條和恵監督は「年末も韓国にいる両親に会いに行けず、よく泣いていた」と明かす。
 マリアさんは家族と会えない中でも、ドラマを見て勉強するなど工夫して日本語を習得。練習でのコミュニケーションも次第に増えていった。「和恵先生から『粘れ』と言われ続けた。今ではその意味を理解し毎日、粘ることを考えながら練習している」と話す。
 マリアさんは世界ランキングなどでは五輪出場権に届かないが、父方の親族が米国のグアムに住んでいることもあり、オセアニア枠を持つグアムの代表に選ばれた。
 「世界最大のスポーツイベントに出場できることをとてもうれしく思う」とマリアさん。「これまで学業や競技をサポートしてくれた大学の皆さんに恩返しできるように頑張っていきたい」と前を向いた。 (時事)
[時事通信社]

撮影に応じるマリア・エスカノさん(左)と同大女子柔道部の南條和恵監督=4日、宮城県柴田町
撮影に応じるマリア・エスカノさん(左)と同大女子柔道部の南條和恵監督=4日、宮城県柴田町

最新動画

最新ニュース

写真特集