米株「トランプ相場」一服か=バイデン氏撤退で選挙戦に変化
【ニューヨーク時事】米大統領選を巡り、株式市場で共和党候補のトランプ前大統領(78)の返り咲きをにらんで関連銘柄を売買する「トランプ・トレード」が一服するとの観測が浮上している。高齢不安を受けて民主党のバイデン大統領(81)が選挙戦からの撤退を決断。ハリス副大統領(59)を後継指名したことで、トランプ氏優勢の構図に変化が起きる可能性があるためだ。
先週の米市場では建機大手キャタピラーなどの景気敏感株が値を上げた。暗殺未遂事件を機に共和党が団結し、公共投資拡大に積極的とされるトランプ氏が選挙戦で有利になったとの見方が背景にある。
一方、ハイテク株は軟調に推移した。トランプ氏が16日配信のブルームバーグ通信のインタビューで、台湾について「米国の半導体ビジネスをすべて奪った」と非難。リスク回避の思惑から半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)と取引がある米エヌビディアやアップルが売られた。ハイテク株中心のナスダック総合指数は19日まで3日続落した。
バイデン氏の撤退表明から一夜明けた22日の米市場では、売り込まれていたエヌビディアなどが買い戻された。生成AI(人工知能)の普及拡大に伴う半導体需要の底堅さも意識され、ナスダックは4営業日ぶりに反発して引けた。
ハリス氏は法人税増税に関心が強く、バイデン氏よりも「革新的」(米紙ニューヨーク・タイムズ)とされる。今後打ち出される政策に注目が集まっている。
ただ、ハリス氏の力量が未知数である上、11月の本選の結果が見通しづらいことを念頭に、市場参加者は「相場は当面立ち止まった状態が続く」と予想している。
[時事通信社]
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