ハリス氏、「遺産」死守へ=トランプ氏の転換主張阻止―米大統領選
【ワシントン時事】米大統領選撤退を決めたバイデン大統領から後継指名されたハリス副大統領にとって、バイデン氏の「レガシー(遺産)」を守ることが最大の課題となる。共和党候補のトランプ前大統領は、民主党のバイデン政権下で進んだ気候変動対策などの転換を主張しており、バイデン氏はハリス氏に死守を託した形だ。
「世界史上最大規模の気候変動対策法を可決した」。バイデン氏は21日発表した書簡で、経済政策における実績として、再生可能エネルギーや電気自動車(EV)などの促進を柱とする「インフレ抑制法」の成立を挙げた。
一方、同法こそトランプ氏が「緑の新たな詐欺」と目の敵にする政策だ。トランプ氏は大統領に返り咲けば、EV促進策を「就任初日に終わらせる」と明言。石油など化石燃料の増産も打ち出した。
11月の大統領選は国民にとって、税制を含めた「思想」の異なる二つの経済政策の選択でもある。バイデン氏は大企業と富裕層に「応分の負担」を求め、課税強化を進めた。子育て支援などの財源を確保し、社会をむしばむ格差拡大の抑止を狙っていた。
トランプ氏はこれに対し、1期目に実現した大型減税の恒久化を公約するとともに、さらなる減税を志向する。減税をてことした景気拡大による税収増で、政府債務を圧縮する考えだ。
民主党の最有力候補となったハリス氏は21日の声明で、「バイデン氏の卓越したレガシーは史上比類ない」とし、大統領選で「トランプ氏とその過激な公約を打ち破る」と誓った。しかし、ハリス氏は政権内では経済政策と縁遠かっただけに、政策運営能力は未知数。トランプ氏との今後の論戦などを通じて力量を試されることになりそうだ。
[時事通信社]
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