暑さとの戦い、パリでも=気温上昇、続く懸念―五輪
26日に五輪開幕を迎えるパリでは、厳しい暑さへの懸念が高まっている。6月下旬以降は最高気温が30度を超える真夏日も記録。3年前の東京大会は「史上最も暑い五輪」と言われた。気候変動や温暖化が世界的な問題となる中、真夏の五輪開催は選手にも市民にも大きな負担を強いている。
世界の平均気温が観測史上最高を記録した昨年、フランスは熱波に見舞われ、酷暑が原因で5000人以上が亡くなった。英ポーツマス大の研究者や非営利団体がまとめた報告書「火の五輪」によると、パリの2024年の平均気温は、前回五輪が行われた1924年と比べて3.1度上昇。気候変動に詳しい東大の江守正多教授は「平均気温の上昇が続けば、熱中症での死亡リスクが高まる日は増えていく。この状況と向き合い、スポーツとの関係を考えないといけない」と警鐘を鳴らす。
世界各国の選手は水風呂や体温を下げる服装、暑さに慣れるトレーニングなどを取り入れ、対策に取り組んでいる。一方、陸上男子円盤投げ米国代表のサム・マティスは同国メディアに「夜中にでもやらない限り、世界中の多くの場所で夏の五輪は開催不可能になるだろう」と実感を込めてコメントした。
環境への配慮をアピールし、選手村にエアコンは設置されなかったが、日本や米国、ドイツなどの選手団は「背に腹は代えられぬ」とばかりに移動式のエアコンを持ち込む方針。「火の五輪」報告書は、猛暑を避ける大会日程の設定を提言しているが、米テレビ局の放映権料に支えられる五輪で、開催時期の変更は現状では困難だ。元陸上選手の為末大氏は「いくつかの競技は冬季五輪に移すこともできるのでは。柔軟に考えることも必要」と指摘した。
[時事通信社]
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