銃規制、動き鈍く=トランプ陣営、所持擁護―米
【ニューヨーク時事】トランプ前米大統領が銃撃され、3人が死傷した事件から1週間が経過しても、米国で銃規制強化を求める動きは鈍いままだ。バイデン大統領は事件で使われた半自動小銃AR15の禁止を訴えるが、トランプ陣営は銃所持を擁護する姿勢を崩していない。
トランプ氏は18日の指名受諾演説で「暗殺者の銃弾はあと4分の1インチ(約6ミリ)で私の命を奪うところだった」と述べ、間一髪の生還だったと強調した。しかし、1時間半もの演説で、銃の保有や規制に関する言及はなかった。
トランプ氏は、米屈指の影響力を持つロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」の支援を受ける。公約では、バイデン政権が導入した銃規制の撤廃を掲げている。
トランプ陣営幹部は16日、銃所持の権利推進団体のイベントで「われわれは(武器の保有・携帯権を保障する)憲法修正第2条を支持し、擁護し続ける」と表明。11月の大統領選でトランプ氏が返り咲けば、銃規制に反対する連邦裁判事を任命し、規制緩和を促進する方針を示した。
米国では1981年、当時のレーガン大統領が銃撃され、重傷を負う暗殺未遂事件が発生。その後は銃暴力への反発が広がり、93年に銃購入者の身元調査を定めた「ブレイディ法」が成立した。
法制定を支援したNPO団体の幹部は、トランプ氏銃撃後も規制強化に向けた動きが見られないのは「政治的暴力や銃による脅迫が日常化している危険な状況を反映している」と指摘。容易に銃を入手可能な環境が市民の命を危険にさらしていると警鐘を鳴らした。
疾病対策センター(CDC)によると、米国では2022年、4万8000人以上が銃による負傷で死亡。うち4割超が殺人の犠牲者だという。
[時事通信社]
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