全ての危機「終わらせる」=バイデン外交の弱腰批判―トランプ氏
【ミルウォーキー時事】トランプ前米大統領は18日の演説で、「欧州や中東で戦争が激化し、台湾や韓国、フィリピンなどアジア全域で紛争の恐怖が広がっている」と述べ、国際情勢への危機感を示した。「現政権がつくり出した全ての国際的危機に終止符を打つ」と強調し、各地で続く紛争の解決に意欲を示した。
トランプ氏はロシアのウクライナ侵攻やイスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突に触れ、「私が大統領であれば決して起きなかった」と主張。バイデン政権下の2021年8月、アフガニスタン駐留米軍撤退の際に自爆テロで米兵13人が死亡したことに言及し、現政権の失政を批判した。
また「全世界に告げる。われわれは人質の解放を望む。私が大統領に就任するまでに帰国させなければ、大きな代償を支払うことになる」と警告。ロシアやイラン、中国、ハマスによる米国人拘束を念頭に、早期の人質解放を迫った。
このほか、1期目に北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記と良好な関係を築いたと振り返り、「彼(正恩氏)も私に会いたいだろう」と秋波を送った。「多くの核兵器を持っている人と仲良くやるのは良いことだ」として、大統領に返り咲いた場合、正恩氏との関係を再構築する考えも示した。
米共和党は15日に採択した政策綱領で「軍近代化」などを通じて国益を守る「力による平和への回帰」を前面に押し出した。トランプ氏は11月の大統領選に勝利すれば「戦争や弱腰、混迷の数年は終わる」と訴え、自身が強い指導者であることをアピールした。
ただ、演説では、ウクライナ和平やイスラエルとハマスの停戦などに向けた具体策には踏み込まず、バイデン政権批判を繰り返すにとどまった。北大西洋条約機構(NATO)加盟国など同盟国に国防支出拡大を迫る持論も封印。より穏健な姿勢を印象付けるよう努めたとみられる。
[時事通信社]
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