習政権、「改革」演出に躍起=トウ小平路線の継承アピール―新目標、4期目への意欲か
【北京時事】18日に閉幕した中国共産党の第20期中央委員会第3回総会(3中総会)では、不動産市場の低迷などで景気の冷え込みが長引く中、習近平政権がどこまで具体的な経済政策を打ち出すかが注目された。公表されたコミュニケでは、改革の停滞を指摘する海外投資家の声を念頭に、「改革」に50回以上言及。官製メディアも対外開放の姿勢を連日アピールし、トウ小平が進めた「改革」の継承を演出することに躍起になっている。
「改革をより突出した位置に置き、さらに深化させなければならない」。コミュニケでは、金融や財政、国防などの改革を進めると強調。建国80年の2029年までに「改革の任務を完成させる」という新たな目標も打ち出した。習総書記の3期目任期は27年までで、4期目に意欲を示したともいえそうだ。
総会が開幕した15日には、国営新華社通信が「改革家・習近平」と題する論評記事を配信し、習氏を「トウ以来の卓越した改革家」と持ち上げた。1978年の3中総会で改革・開放への転換を打ち出したトウがほぼゼロから改革を始めたのに対し、習氏は改革を深化させ、新時代を切り開いたと称賛。脱貧困や反腐敗、技術革新の促進といった習氏の成果を列挙し、さらなる権威付けを図った。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、この記事は海外向けサービスでのみ配信された。海外投資家からは、経済が失速する中でも国有企業の優遇など内向き姿勢を強めているとの指摘があり、改革・開放を進めたトウと習氏を重ねることで、そうした懸念を払拭する狙いがあるとみられる。
しかし、習政権に対しては、トウよりも建国の父・毛沢東との類似性を指摘する声は多い。総会のテーマとなった「中国式現代化」も欧米と異なる発展様式を指しており、習政権は今後も独自の「改革」を進める方針だ。
先の新華社の論評では、改革の目標を「新時代の中国人をつくり、文化の自信、民族の誇りを確立すること」と位置付けた。党機関紙・人民日報は17日、「西側の理論を無理に当てはめてはならない」とする論評を掲載。「中国の特色ある社会主義の道を揺るぎなく歩む」よう国内向けに訴えた。
[時事通信社]
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