トランプ陣営、産業保護に拍車=USスチール買収、強く反対―副大統領候補
【ミルウォーキー(米ウィスコンシン州)時事】米大統領選で共和党の副大統領候補となったバンス上院議員は、「ラストベルト(さび付いた工業地帯)」出身の経歴を背景に、製造業の育成や保護の必要性を訴えてきた。17日の指名受諾演説では、「(かつての)北米自由貿易協定(NAFTA)は、数え切れないほどの雇用をメキシコに譲り渡した」などと主張。反自由貿易の考えを鮮明にした。
日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収に強硬に反対していることでも知られ、トランプ前大統領の産業保護の姿勢に拍車を掛けそうだ。
「ワシントンの政治家たちの政策によって、低賃金の労働力による安い中国製品があふれた。私のコミュニティーはその代償を払った」。バンス氏は演説で、歴代米政権が推進してきた自由貿易が、米製造業の衰退を招いたと繰り返し批判。国内産業を保護する必要性を強調した。
特に中国からの安価な製品流入を警戒。副大統領候補指名の直後には、米メディアに対し、中国の世界貿易機関(WTO)加盟を米国が後押ししたのは間違いだったとの認識を示した。
ロイター通信によると、中国外務省は「中国を選挙の争点にすることに反対している」(報道官)と表明し、早くもけん制した。
また、昨年12月に日鉄がUSスチール買収を発表すると、即座に「米国の産業基盤に悲惨な影響を与える」などと懸念を示し、阻止するよう米政府に要請。今年4月には、USスチールの臨時株主総会で買収に賛成するよう促した同社経営陣を厳しく批判しており、同盟国の日本にも厳しい目を向けている。
[時事通信社]
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