英スターマー政権、不法移民対策で試練=ルワンダが反発、外交問題に
【ロンドン時事】4日に行われた英総選挙で地滑り的勝利による政権交代を実現した労働党のスターマー首相が早くも試練に直面している。スターマー氏は就任直後、不法移民をアフリカ中部ルワンダへ移送する計画の廃止を宣言した。しかし、ルワンダ政府は反発し、外交問題の様相を呈している。不法移民問題は、計画を決めた前政権が国民の支持を失った要因の一つ。対応を間違えば、新政権も失速しかねない。
ルワンダへの移送計画は、英仏海峡を小型船舶で渡ってくる不法移民問題の解決策として、保守党政権が推進。今月にも最初の移送が行われる予定だった。
労働党は総選挙を通じて、移送計画は効果がないと主張し破棄を訴え、代わりに国境警備を強化する案を提示。スターマー首相は6日の就任記者会見で、移送計画を「(移民流入の)抑止力になっていない」と切り捨て、計画の廃止を改めて明言した。
だが、BBC放送によると、ルワンダ政府は英側の方針転換に応じない構えだ。計画を白紙に戻すとしても、移民受け入れの見返りとして英国が支払った2億7000万ポンド(約550億円)について「返金する義務はない」と表明した。BBCは、計画廃止を事前に通知しなかったことがルワンダ政府の怒りを招いており、「外交上の過ちだ」と指摘した。
スターマー政権は不法移民の流入を防ぐため、国境警備隊や警察、入国管理局などにまたがる移民対策に関連する部署を統合した「国境警備司令部」の設立に着手した。移送計画の廃止で、司令部に関連する初年度の支出を捻出できるとしているが、国境警備を強化する費用が実際にどの程度必要になるかは不明。ルワンダ政府が態度を軟化しなければ、同国からの返金も見込めず、追加的な財政支出を強いられる可能性もある。
[時事通信社]
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