単独犯か、動機解明難航も=父購入の銃使用、米FBIが爆発装置押収―トランプ氏暗殺未遂事件
【ベセルパーク(米ペンシルベニア州)時事】米連邦捜査局(FBI)は14日、トランプ前大統領(78、共和党)を銃撃し、射殺されたトーマス・クルックス容疑者(20)の自宅などを捜索し、動機や背後関係の捜査を進めた。捜査当局は単独犯との見方を強めているが、トランプ氏を標的とした特定の思想や政治的信条は浮かび上がっておらず、動機の解明は難航しそうだ。
事件は13日午後6時15分(日本時間14日午前7時15分)ごろ、東部バトラーで開かれた選挙集会で起きた。容疑者は集会会場から離れた建物の屋根の上から演説中のトランプ氏に向かって複数回狙撃。その後、大統領警護隊(シークレットサービス)によって射殺された。
FBI当局者は14日、米メディアに対し、「現時点での情報は単独犯の銃撃だったことを示している。容疑者と関連するイデオロギーは特定していないが、捜査はまだ初期段階だ」と説明した。
容疑者は有権者登録では「共和党」として記録されていたが、党員として活動していたかどうかなどは不明。捜査当局は政治的動機を背景として、「ホームグロウン(国産)テロ」や暗殺を企てた可能性も視野に捜査している。
米メディアによれば、クルックス容疑者は父親が合法的に購入した半自動小銃AR15でトランプ氏を狙撃。殺傷力が高いにもかかわらず、米国では民間人でも入手可能なライフルで、繰り返し発生する銃乱射事件でたびたび使用されている。捜査当局は容疑者の車両などから爆発装置のようなものや携帯電話なども押収し、分析を進めている。
容疑者は会場から約55キロ離れたペンシルベニア州ピッツバーグ南方のベセルパークに在住。自宅は閑静な住宅街にあり、事件翌日の14日、周辺の道路は封鎖され、警察官や米メディアの記者を見掛けるほかは静かな様子だった。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、容疑者は2022年に高校、今年5月に2年制大学(コミュニティー・カレッジ)を卒業した後、地元のリハビリ施設で勤務していた。ライフルや銃の取り扱いを訓練できるクラブに所属していたとの情報もある。精神科への通院歴はなかったという。
事件では、トランプ氏が右耳を負傷したが、命に別条はなかった。集会会場にいた聴衆の男性1人が死亡し、2人が重体に陥ったが状態は安定しているという。
[時事通信社]
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