お気に入りの一着、デジタル印刷で=色柄自在、環境配慮へ売れ残り解消
アパレル業界でインクジェットプリンターを使って布地に色柄を付ける製作手法が注目されている。少量生産で客の好みに自在に対応。水の消費も抑えられるなど環境負荷を低減する効果が期待できる。コストを下げるために大量生産しがちな構造の見直しにもつなげる狙いだ。
エプソン販売(東京)は、三陽商会、ソフトウエア開発のアベイル(横浜市)、衣料品ベンチャーのフクル(群馬県桐生市)と「無在庫」を目指す実証実験を行っている。三陽商会が国内で展開するスペイン発ブランド「エコアルフ」で、Tシャツのカスタムオーダーを実施。端末に性別や体形などを入力して色やポケットの柄を選ぶと、試着イメージが3D画像で表示される。
柄物の洋服は目を引く一方、流行の影響を受けやすく在庫を次のシーズンに回しにくい。この取り組みでは柄の大きさや色を自由に調整できる。三陽商会の下川雅敏エコアルフ課長は「顧客が求めるものづくりの精度を上げられる」と手応えを語る。西宮阪急(兵庫県西宮市)の期間限定店で16日まで受け付けている。
アパレル業界では版を作り生産するアナログ印刷が主流だ。しかし、洗浄などの工程で大量の水を使う上、過剰生産・廃棄も課題となり、少量・短納期で生産できるデジタル印刷への関心が高まっている。エプソン販売の今園優一産業機器営業部課長は「必要な時、必要な分だけプリントできる強みを生かせる」と説明。今後賛同する商社やアパレルブランドを募り、展開する計画だ。
京セラは、顔料インクを使い水の使用量を極限まで抑えたプリンターを開発した。清流で知られる高知県・仁淀川の水面の柄をプリントした生地を作り、環境保全への貢献と印刷技術の高さをアピールしている。
[時事通信社]
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