藤波、待ち遠しい夢舞台=けが苦にせず前向きに―レスリング女子・パリ五輪「最高の輝きへ」
パリ五輪レスリング女子の金メダル候補、53キロ級の藤波朱理(日体大)は、3月にまさかのアクシデントに見舞われた。
練習中、マットに手をついた際に左肘を脱臼。手術を受けることを決め、パリの前哨戦と位置付けて出場を予定していた4月のアジア選手権(キルギス)を欠場した。「その瞬間は、肘の痛みも心の痛みも過去最大だった」と振り返る。
だが、一度立ち止まったことで、周囲のサポートを改めて実感。「自分でも驚くぐらい、すぐに前を向くことができた」と言う。
日体大入学に伴い三重県から上京。父でコーチの俊一さんと2人で暮らしていた自宅に、今春からは母千夏さんも同居している。「食事の面だったり、心の面だったり、すごくサポートしてもらって、いい状態で準備できている」。両親の支えは何よりも大きな原動力だ。
リハビリ期間中には、母と一緒に日めくりカレンダーを作った。「『パリの金まで』という感じでやっている毎朝のルーティン。『よし』という気持ちになる」。決勝が行われる8月8日まで100日を切った日からスタート。カウントダウンをしてくうちに、当初抱えていた不安はどこかへ消え去った。
5月中旬にスパーリングを再開。患部にサポーターを巻きながらではあるが、試合さながらの激しい練習もできている。中学生だった2017年から続く公式戦133連勝の実績を引っ提げて挑む初の夢舞台へ。「いい緊張感と楽しみな気持ちと、すごくバランスが良い。いい精神状態でいるなって、自分でも思う」と声を弾ませる。
[時事通信社]
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