川崎重工裏金、年2億円=海自隊員にゲーム機など提供―防衛省
海上自衛隊の潜水艦修理に絡み、川崎重工業が海自隊員に金品や飲食を不正に提供していた疑惑で、防衛省は10日、川崎重工が架空取引で捻出した裏金が、年間約2億円に上ることを明らかにした。総額は少なくとも十数億円規模といい、隊員にはゲーム機や工具なども提供されていたという。防衛省は特別防衛監察で詳しい接待の内容を調べている。
防衛省が10日の自民党会合で説明した内容によると、川崎重工から海自の潜水艦乗組員らに対する金券や飲食の提供は長年続き、ゲーム機や工具類を隊員のリクエストに基づいて調達したこともあったという。防衛省は、同社が捻出した裏金の一部が隊員側に提供されたとみている。
防衛省に対する川崎重工の説明では、裏金の原資となった架空取引は潜水艦修理に使う資材を納入する下請け会社との間で行われた。艦艇修理では資材の発注部署と工事をする部署が同一だったことが不正の温床になったとみられるという。
海自の潜水艦は、川崎重工と三菱重工業による寡占状態で、両社が交互に年1隻の建造を受注。全25隻(練習艦含む)のうち、12隻が川崎重工製で、修理も製造元が請け負うことが慣例となっている。
受注競争がない環境や、潜水艦隊の隊員数(約二千数百人)からみて裏金額が多いことから、防衛省内には接待の動機や経緯をいぶかしむ声も強い。防衛省は三菱重工との契約も特別防衛監察の対象とし、実態解明を進める。
[時事通信社]
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