安倍派「分派化」の動き=若手・参院議員ら総裁選にらみ―自民
自民党安倍派内で小グループに「分派」する動きが進んでいる。かつて100人規模と党内最大勢力を誇った同派だが、支柱だった安倍晋三元首相を失った上、裏金事件を受けた派閥解散と有力議員の処分で所属議員は漂流を続ける。一定の固まりを維持することで9月に想定される党総裁選で各陣営の「草刈り場」となる事態を避け、発言権を確保する狙いがありそうだ。
安倍氏が銃撃事件で死去してから2年を迎えた8日、同派関係議員らの三つの集団がそれぞれ分かれて生前の安倍氏をしのび、遺志を継ぐことを誓った。
福田達夫元総務会長をはじめとした中堅・若手の衆院議員ら約20人は、安倍氏の地元である山口県長門市を訪れて墓参。福田氏は記者団に「(安倍氏死去で)政策的にも政治的にも多くのものを失った。あいた穴をどう埋めるか考えないといけない」と述べた。
この中堅・若手グループは1月の安倍派解散の決定後も定期的に会合を重ねている。軸となる福田氏は、安倍派の源流・福田派を創設した福田赳夫元首相の孫で、派閥を受け継ぐ「主流」と見なす向きもある。
世耕弘成前参院幹事長ら参院議員約30人は奈良市の銃撃事件の現場で黙とうした。世耕氏が率いた参院安倍派「清風会」は派閥解散に伴い解体。世耕氏は裏金事件の責任を問われて離党勧告の処分を受けて党を離れた。それでも世耕氏は主導権の維持を試みており、「離党した人なのに迷惑だ」(参院議員)との反発もある。
安倍派を含む有志議員でつくる「保守団結の会」の高鳥修一代表世話人ら数人は奈良市内で、事件現場とは別に設けられた慰霊碑に献花した。同会は安倍氏を「永久顧問」としており、総裁選出馬に意欲的とされる高市早苗経済安全保障担当相が顧問を務めている。
このほか、衛藤征士郎元衆院副議長も複数回会合を開き、多いときで十数人を集めた。
一方、世耕氏以外の安倍派有力者「5人衆」は安倍氏の命日に目立った動きは見せなかった。萩生田光一前政調会長は7日投開票の東京都議補欠選挙で、地元の八王子市で自民候補が大敗したばかり。西村康稔前経済産業相は裏金事件で党員資格停止の処分を受け、身動きが取れない。有力者不在の現状で派閥再結集は困難な情勢となっている。
[時事通信社]
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