少子化対策、問われる実効性=「税源偏在」で防戦も―小池知事
3期目を迎える東京都の小池百合子知事(71)は、「子育てと教育にお金がかからない都政」を訴えてきた。少子化に歯止めがかからない中、対策の実効性を高められるかが問われる。一方で、豊かな財政状況を背景に、都は子育て支援に多額の予算をつぎ込んできた経緯もあり、他の自治体からは東京への税源偏在を問題視する声も出ている。税制改正論議の活発化が予想され、小池氏が「防戦」を強いられる場面もありそうだ。
小池氏は2期目の任期中、0~18歳の都民に月5000円を給付する「018サポート」や、高校授業料無償化の所得制限撤廃をはじめ、大胆な子育て支援策に取り組んだ。それでも、1人の女性が生涯に産む子どもの数を表す合計特殊出生率は0.99と全国最低を記録。子どもを産み育てやすい環境づくりは、まだ十分とは言えない状況だ。
選挙戦で小池氏は、無痛分娩(ぶんべん)への助成や第1子の保育料無償化、中学校35人学級の実現など、子育て・教育施策を中心にさまざまな公約を掲げた。勝利を受けて応じた取材に対し、どの施策を対象とするか明言しなかったものの「来年度予算の財源なども確保しながら進めたい」と述べ、具体化を急ぐ考えを示した。
ただ、実現には課題も残る。公約には、給付型の大学奨学金制度創設や、子育て世帯への家賃負担軽減も盛り込まれたが、対象範囲や金額は示されていない。予算規模が膨らめば、財源確保が難しくなる。また、無痛分娩は麻酔科医、中学校35人学級は教員や支援員といった担い手の確保が欠かせない。あらゆる業種で人手不足が深刻化しており、乗り越えるべきハードルは高い。
また、これらの施策を支える潤沢な都税収入も将来まで続く保証はない。高校授業料無償化などの独自策を推進する中、隣接する埼玉、千葉、神奈川3県は、自治体の財政状況によって行政サービスに格差が生じないよう、税源偏在の是正を国に求めた。8月の全国知事会議や、年末にかけて政府・与党で行われる税制改正の議論でも攻防が見込まれる。
[時事通信社]
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