米利下げ、9月観測強まる=雇用過熱の沈静化で
【ワシントン時事】5日発表された6月の米雇用統計では、失業率が4.1%と前月比0.1ポイント悪化し、2021年11月以来2年7カ月ぶりの高さに上昇した。4、5月の就業者数も大幅に下方修正されるなど労働市場の過熱沈静化が示され、市場では連邦準備制度理事会(FRB)が9月の会合で利下げに踏み切るとの観測が高まった。
景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は6月、前月比20万6000人増と、市場予想を上回る堅調な伸びだった。しかし、4月と5月の就業者数の増加幅は、従来発表より合計で11万1000人引き下げられた。
市場では「労働市場減速の兆しが示され、9月利下げ予想を強める」(米エコノミスト)との声が上がった。金利先物を踏まえて金融政策変更の確率を算出するCMEグループのフェドウオッチによると、9月利下げ確率は5日時点で7割超に上昇した。1週間前は6割弱だった。
米国では、コロナ禍収束で経済活動が活発化するにつれ、人手不足から賃金が大幅に上昇。根強いインフレ圧力の要因となっていた。しかし、ひと頃の過熱感が収まったことを踏まえ、FRBは5日公表の金融政策報告で「労働需給バランスはコロナ禍前とよく似た状況になった」と分析。雇用情勢が正常化しつつあるとの見方をにじませた。
パウエルFRB議長は2日、ポルトガルで開かれた欧州中央銀行(ECB)主催の会合で、利下げ開始前に「インフレの持続的な低下をさらに確信したい」と述べ、経済指標を見極める姿勢を改めて強調した。利下げ時期を占う手掛かりとして、11日に発表される6月の米消費者物価指数(CPI)が注目されている。
[時事通信社]
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