「私以上の有資格者いない」=バイデン氏、撤退圧力に抵抗―認知検査に消極姿勢・米大統領選
【ワシントン時事】バイデン米大統領(81)は5日、米ABCテレビのインタビューに応じた。「私以上に大統領になる資格がある者はいない」と語り、先月27日のトランプ前大統領とのテレビ討論会後に加速する「バイデン降ろし」の動きに抵抗。外交や経済面の実績を掲げ、再選を目指す考えを改めて示した。
バイデン氏は討論会の失敗について「一度きりの悪い出来事だ。ひどい風邪を引いていた」と説明。民主党内の候補者差し替え論は一部にとどまると指摘した上で、「全能の神が降臨し、撤退せよと言えば撤退する。全能の神は降りてこない」と選挙戦を続ける意向を強調した。「北大西洋条約機構(NATO)を拡大させ、経済を成長させた」と、3年半の政権の成果も誇示した。
言い間違いや物忘れが目立つバイデン氏に対し、記者が認知機能検査を受けたことがあるかと問うと、「誰も必要と言わなかった」と否定。今後の受診についても、大統領職の激務を日々こなしているとして消極的な姿勢を見せた。こうした態度が、2期目の4年間も気力、体力が持つのかを懸念する有権者の説得に役立つかは不透明だ。
政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」がまとめた各種世論調査の平均値によると、討論会前の6月26日時点ではトランプ氏のバイデン氏に対する支持率のリードは1.5ポイントの僅差だったが、今月5日時点で3.3ポイントに広がった。バイデン氏は結果について、「世論調査がかつてほど正確だと思うか」と疑問視。トランプ氏に勝てるかとの質問に「イエス」を連呼した。
原稿を読む演説と異なり、インタビューは即興のやりとりが試され、高齢不安が指摘されるバイデン氏が有権者に選挙戦継続を納得させる上で「最大のヤマ場」(政治専門紙ヒル)と注目されていた。ABCによると、インタビューは編集なしで放送された。
バイデン氏の主張は、党内の懸念や不満の払拭には至っていない。同氏に初めて出馬辞退を求めたドゲット下院議員はCNNテレビで「撤退の必要性はますます強まった」と述べた。選挙戦継続を誓うバイデン氏と、大統領選と同時実施の上下両院選への負の影響も懸念する議員や献金者らの溝は深まっている。
[時事通信社]
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