2024-07-02 15:56スポーツ

出産前後の自分「比べない」=柔道女子連覇目指すアグベニェヌ―パリ五輪・トリコロールの旗手

世界柔道で6度目の優勝を果たしたアグベニェヌ(右)=2023年5月10日、カタール・ドーハ
世界柔道で6度目の優勝を果たしたアグベニェヌ(右)=2023年5月10日、カタール・ドーハ

 柔道大国のフランスで、同国女子選手の象徴的な存在となったのが63キロ級のクラリス・アグベニェヌ(31)だ。2年前に母となり、自身の体調や取り巻く環境が大きく変化する中、自国開催となるパリ大会で五輪連覇を目指す。
 2021年東京五輪の翌年6月に長女を出産。競技復帰を目指そうと考えた時、最初は不安があった。筋力が落ちたのに体重は増え、減量に苦労。さらには「母乳が力を奪ってしまうので、それ以上に練習する必要があった」。昨年3月に日本で合宿した際には思うように体が動かず、「もう二度と戻ってこられないかもしれない」と涙を流した。
 それでも、2カ月後の世界選手権で通算6度目の優勝。試合の合間に授乳をしながら戦った。全盛期の力は戻ってはいなかったが、勝負勘の鋭さは健在だった。
 今春に東京のフランス大使公邸で行われたイベントに出席し、「出産前の自分と出産後の自分を比較しないこと。前と同じくらい体力があるとか、前と同じくらい強いと思っていても、体はどうしても変化する。違う女性になるという認識を持つことが大切」と語った。
 世界各国を娘と一緒に回って試合に出場してきた。フランスのマクロン大統領には、パリ五輪の選手村に娘を同伴できるよう直談判もした。出場選手数が史上初めて男女同数となるパリ五輪。「母親として男女平等が世界で達成できるように戦っていきたい」と意気込む。
 精神的にも力強さを増した女王は、日本代表の高市未来(コマツ)のライバルとして立ちはだかる。男女混合団体でも連覇を狙うフランスの切り札になるだろう。 (時事)
[時事通信社]

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