暗闇抜け、花の都パリへ=主将置かない新スタイル
選手の負担を軽減するため伝統の主将を置かず、新たなスタイルで五輪に臨む日本選手団。メダル有力候補でもある旗手2人はオファーを受けた時、驚きや喜びがあったという。
「怖さもあったが、人生で一度のチャンス。やらないと後悔する」と江村。半井は「ブレイキンの選手が旗手をすることで、何か世の中に伝えられるメッセージがあるのではないか」。それぞれの決意を胸に、「日本の顔」としての大役を引き受けた。
3年前、コロナ禍の東京五輪は開催の是非を巡って世論が割れ、肩身の狭い思いをする関係者は多かった。尾県団長は「暗闇がずっと続いていた。スポーツは『不要不急』と言われ、五輪を語ることさえできないような状況だった」。当時の重い空気感を振り返る。
それでも、ほぼ無観客という異例の舞台で日本選手は奮闘。史上最多のメダル58個を獲得し、明るいニュースを届けた。JOCが掲げるパリ五輪の大会コンセプト「一歩、踏み出す勇気を」は、逆境の中で歩みを止めなかった当時のアスリートたちの思いを表現している。
壮行会は選手だけでなく、ファンを含む約6000人の熱気に包まれた。東京五輪の際、オンライン上の寂しい雰囲気だった壮行会を知る江村は「新しい景色」としみじみ。「暗闇」を抜け、誇らしげに日の丸を身につけた選手たちは、大勢の観客が待つ花の都へ向かう。
[時事通信社]
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