英総選挙・識者談話(下)
◇現政権への憤り明らかに
今井貴子成蹊大教授(英国政治)の話 現政権に対する憤りが示された選挙結果だ。労働党は大勝したが、熱狂的に支持されているわけではない。有権者は、労働党に過大な期待はかけないが政権を委ねるに足る信頼があると判断した。
保守党の敗因は、度重なるスキャンダルや、経済運営能力への不信など重層的なもの。政治不信がピークに達し、有権者が保守党を見限った。対する労働党は保守主義的な側面を併せ持つ中道へと自己変革を遂げ、財政規律の順守や経済の活性化を打ち出し、幅広い有権者にアピールした。新首相となるスターマー党首は現実主義者であり、堅実な政権運営を目指すだろう。
注目すべきは、右派ポピュリスト政党「リフォームUK」が支持を広げたことだ。保守党が立て直しを図る上で、支持層を奪われたリフォームUKに寄る形でさらに右傾化すれば、中道右派政党が不在となり、二大政党間の政権交代で権力を統制してきた英国の民主主義は新たな局面を迎えることになるのではないか。
[時事通信社]
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