価格転嫁「十分ではない」=賃上げ高水準は評価―金属労協議長
自動車、電機など五つの産業別労働組合で構成する金属労協の金子晃浩議長は3日までにインタビューに応じ、2024年春闘を「これまでにない高い水準の賃上げを獲得できた」と評価した。一方、大手企業と中小企業との格差は目立ち、人件費の価格転嫁も「十分ではない」と指摘。政府や経営側と一体で取り組む必要性を強調した。
高い賃上げ率を実現した半面、物価高の勢いは衰えず、実質賃金は4月まで25カ月連続でマイナスとなった。金子氏は「異常で一刻も早く解消しなければいけない」と訴えた。金属労協は産業単位で必要に応じ設定される「特定最低賃金」の引き上げに力を入れる方針だ。「産業や業種の魅力を高め、賃金全体を底上げすることにつながる」と説明した。
金子氏は、中小や組合がない企業への賃上げ波及も重要と指摘。原資を確保する価格転嫁について、経営側に「誤った商慣習を早急に改めてほしい」と要望するとともに、組合として発注元への働き掛けを続ける考えを示した。
政府は6月に決定した経済財政運営の基本指針「骨太の方針」に、不公正取引を取り締まる下請法の執行強化や改正を検討する方針を明記した。金子氏は「民間だけで実現することが難しいのなら、政府がリーダーシップを発揮すべきだ」と強調した。
[時事通信社]
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