保険料納付延長案、見送り=追加負担への反発で―厚労省
厚生労働省は3日、2025年の次期年金制度改正で、国民年金の保険料納付期間を現状の40年間(20~59歳)から45年間(20~64歳)へ5年間延ばす案を見送る方針を明らかにした。
少子高齢化で給付額が下がる基礎年金の底上げ策の一環として検討していたが、公的年金の財政検証結果を踏まえ、国民に追加の保険料負担を求める状況にないと判断した。
橋本泰宏年金局長は同日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)年金部会で、「苦渋の判断をした。健康寿命の延伸を考えれば最も自然な方策であり、政策手段として否定されるべきではない」と述べた。
年金には将来世代の給付財源を確保するため、「マクロ経済スライド」で支給額を目減り調整する仕組みがある。ただ、現行のままだと57年度まで年金額が減り続ける見込みで、同省は非正規雇用が長かった人などの低年金化を防ぐ制度改正を検討している。
国民年金の保険料納付期間の延長案では、自営業や無職者に5年間で約100万円の負担増が生じる一方、基礎年金額は年約10万円増える見通し。3日に公表された財政検証時の試算でも、こうした効果が確認された。
しかし、新たな保険料負担について与野党から「60歳以上の人たちにとって新たな保険料負担は重い」との慎重意見が出ていたこともあり、次期改正での実施を断念する方針を固めた。
同省は、厚生年金の適用拡大など他の方法で低年金対策を講じる考えだ。
[時事通信社]
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